もしかしたら、もうヒミツキチではなくなっているのかもしれない。
毎日開店の午前11時には行列ができている。
訪れる客の車のナンバーを見ると札幌や釧路は当たり前。
ときどき青森・秋田・品川ナンバーまである。
でも、大きな広告は出さないし、海外進出とか富裕層向けのメニューを出したりしない。
会員カードとかスタンプとか一切なし。
味で勝負のラーメン屋だ。
北海道十勝が日本全国に、世界に誇る絶品ラーメン
「田楽」を紹介しよう。
古民家の渋い佇まいはやはり「秘密基地」だ。
これほど木立の似合うラーメン屋が他にあるだろうか?
子供の頃は、カレーライスはインド料理でラーメンは中華料理だと思っていた。
2ヵ月ほど海外を放浪したとき、中華料理店に入ったらメニューにラーメンは無かった。
仕方なく「チャイニーズヌードル」なるものを頼んだら「はるさめ」が運ばれてきた。
それはそれで美味しかったが、2ヵ月の海外放浪でいちばん食べたいと思ったのは「ご飯」でも「味噌汁」でも「刺身」でもなく「ラーメン」だった。
でも食べることはできなかった。
日本に帰国して真っ先にラーメンを食べたのは言うまでもない。
このとき初めてラーメンが日本食、自分にとってのソウルフードだと知った。
日本食なのに中華っぽくする必要はない。
木立の中の古民家こそラーメン屋らしい。
田んぼが楽しいと書いて「田楽(でんがく)」と読む。
ソウルフードの秘密基地だ。
世界遺産に登録したいくらい古き良き日本のすべてがある
外観同様、内装も純日本風だ。
客が多かったため写真撮影は控えたが、明るすぎない店内はとても落ち着く。
適度に漫画や雑誌が置いてあるのを見ると、昔の床屋を思い出す。
メニューには、ラーメンの他に「あつ麺」というのがある。
ぐつぐつ煮立った熱いつけ汁に麺をつけて食べる「つけ麺」のことだ。
熱いつけ麺だから「あつ麺」ということか……。
なかなかよいネーミングだ。
うどんに近いくらい太いちぢれ麺の他に「平打ちぢれ麺」「細ちぢれ麺」と選べるのは嬉しい。
もっぱら「太ちぢれ麺」が病みつきになっているが。
その「太ちぢれ麺」で中盛を頼むと結構なボリュームだ。
さらに「替え玉」「雑炊セット」と果てしなく追加オーダーをする豪快な客も多い。
本当に美味いから。
地元食材の実りが身体に沁み込んでいく至福
写真は「辛味噌あつ麺」
固形燃料でグツグツ煮立ったつけ汁に麵や具材をつけながら食べる。
自家製の麺は、十勝産小麦「ゆめちから」をベースにした極太ちぢれ麺。
海鮮だしの効いたつけ汁は濃厚で五臓六腑に沁みわたる。
体が喜んでいるのがわかる。
ほとんどの食材が十勝産だ。
変わらないことへの安心感があるから通う
どんなに混雑していても慌てず丁寧に接客
だから客も焦らない。
席に就いてからもそれほど待たずにホドホドの時間で注文したメニューが届く。
混雑した店の場合、ホール係が忙しそうに動いて「ちょっと待ってくださいね」とか、もしくは見て見ぬふりをするケースが多々ある。
でも「田楽」は違う。
どんなに忙しくても、暇でも(暇なところを見たことがないが……)
いつも同じ笑顔で丁寧に接客してくれる。
いつも同じでいてくれる安心感。
それはまさしく、北海道十勝の雄大な自然そのもの。
古民家のふるさとに帰ったような感覚ですするアツアツの麺は最高だ。
麺処「田楽」施設情報
- 住所:〒080-0262 北海道河東郡音更町十勝川温泉北15丁目1
- 電話番号:0155-46-2337
- 休日:不定休
- 営業時間:11:00〜21:00
- アクセス:十勝川温泉笹井ホテル駐車場内 JR札内駅から4,400m
- 公式サイト:十勝川温泉の麺処<ラーメン>田楽 (o-dengaku.com)