雌阿寒岳登山とオンネトー散策、合わせて楽しむ方も多い雌阿寒岳温泉に現在唯一残っている一軒宿「野中温泉」
かつては3軒あった宿も1軒減り、2軒目もたたみました。
そしてとうとう「野中温泉」が1軒だけになってしまいました。
それでも古くからのスタンスを変えず、温泉のよさを最大限に生かした小細工のない営業を続けています。
これぞ山の宿。
さすが古くから日本中の登山家に愛されてきた歴史を感じさせます。
野中温泉が愛される理由
野中温泉のよさは山の温泉宿特有のざっくばらんなところでしょうか?
ざっくばらんが嫌いな方もいるとは思いますが、何もかも四角四面に区切って管理されていると、人生を楽しめません。
あらゆる管理から解き放たれる非日常が「旅」であり、その場所こそが「ヒミツキチ」といえるでしょう。
気取らない変わらない押し付けないサービス
温泉に向かう通路に展示されている写真や色紙は「野中温泉歴史ギャラリー」
無名山塾の岩崎元朗氏やテレビ・雑誌の取材で訪れた芸能人は数知れません。
これらを鑑賞するだけでも訪れる価値があるでしょう。
いやいやしかし、いちばんの魅力は温泉です。
温泉に近づくほどに、立ち込める硫黄臭が身体を浄化していくのがわかります。
泉質の素晴らしさは誰もが太鼓判
奥まった山の1軒宿なのに、日帰り入浴が市街地の銭湯と同じ500円という気取らなさ。
内風呂も露天風呂の自家製で趣のある外観。
泉質は含重曹・石膏・硫化水素泉という、白濁の温泉。
いわゆる「白いにごり湯」という温泉でなかなか強烈な硫黄臭が立ち込めます。
そのため、真冬でも内風呂の窓は開放して換気しています。
石鹸やシャンプーなどのアメニティはないのでご了承ください。
そもそも温泉とは、温泉成分を拭き取らずに、天然乾燥させて体にまとったままにしておくのが効果的という説もあります。
実際、湯切れのよい温泉です。
おもてなしスタッフは猫?シカ?それともキタキツネ?
近くの草むらでは「ようこそ野中温泉へ」と言わんばかりに、シカの群れが頭を垂れています。
草を食んでいるのか、温泉成分を舐めているのかわかりませんが。
駐車場やロビーではネコのおもてなしもあります。
毛艶のよい人慣れしたネコが数匹、キツネを追っ払ったり、シカと競争したり、たまには部屋まで挨拶にきたりするそうです。
ネコもシカもキツネも寛いでいる空間、人間が癒されないはずはありません。
野中正造さんの世界最高齢は温泉のおかげ
「野中温泉」を語るうえで欠かせないのが、2019年に113歳でお亡くなりになった当時の世界最高齢者、野中正造さんです。
2017年の111歳のときに世界最高齢者として認定されたのですが、その時点でなお温泉で家族と普通に暮らしていたといいます。
1日3回の食事はもちろん会話も明快、新聞も毎日読んでいたそうです。
新聞の取材で長寿の秘訣を問われた野中正造さんは
「温泉のおかげ」
と答えました。
どうぞ、みなさんも野中温泉で英気を養い、人生100年時代を生き抜きましょう。
野中温泉施設情報
- 住所:〒089-3964 北海道足寄郡足寄町茂足寄159
- 電話番号:0156297321
- 営業時間:チェックイン15:00 チェックアウト10:00(日帰り温泉は10:00~18:00)
- アクセス:JR釧路駅より阿寒湖畔行きバス終点で下車ハイヤーで20分 足寄市街より50㎞
- 公式サイト:http://www.minkoku.com/yado/top.php?yado_id=7