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【福井】熱気あふれる競りと新たな賑わいの創出、次世代型の地方卸売市場≪三国港市場≫

目次

はじめに

本日、3月16日は北陸新幹線の延伸区間(金沢―敦賀)の開業日です。福井への旅がより速く、より便利なものへと生まれ変わりました。

福井に訪れた際に楽しんでいただきたいのが、日本海の新鮮な魚介類です。

そこで今回は、福井県坂井市にある「三国港市場」で行われる「夕競り」の様子を取材しました。漁師が海へ出てから、私たちの元に届くまで。そこに関わるひとたちの姿をお届けします。

三国港市場について

三国港市場の外観

「三国港市場」は、三国の漁師が水揚げした水産物を専門に取引し、近隣の鮮魚店や問屋などへの販売を行なっている地方卸売市場です。

市場のある坂井市三国町はかつて、北前船の交易によって繁栄し、港は物流の中心的役割を担っていました。ところが、明治以降は鉄道が開通したことで交易の役目を終えると、「漁業の港」へと変革を遂げます。

市場が開設されたのは昭和48年、福井県漁業協同組合連合会によるものでした。そして、令和4年に市場はリニューアルされ、漁業者自らが市場の開設、運営を行なっています。

全国的にも珍しい「夕競り

市場の競りと聞くと、早朝のイメージがほとんどかもしれません。しかし、三国港市場では全国的にも珍しい、夕競りのみを行なっています。

漁を終えて帰港した漁船

その理由は、深夜に出港し昼過ぎから夕方に入港するという漁の時間帯に合わせているからです。(天候や漁の状況によっては出港時間が変わったり、船の中で一夜を明かしたりすることもあります。)

夕競り開始の30分前

底曳網漁で獲れた鮮魚

底曳網漁で獲れた、カニやエビ、鮮魚や貝類が続々と並べられていきます。この時期の鮮魚は、カレイ、ハタハタ、タラ、アンコウ、ミズウオなどがよく獲れるようです。

並べられたカニは鮮度を保つため、空気に触れないよう競り直前までシートで保護されています。

ズワイガニは成長段階に応じて呼び名が異なります。成長途中のものは「アシナガ」、脱皮直後のものは「ミズガニ」といいます。また福井の名物として知られる「越前がに」は雄のズワイガニで、雌は「セイコガニ」といい、種類ごとに競りを行います。

続々と並べられていくカニ

【ズワイガニ漁の期間】

  • 越前ガニ…11月~3月
  • セイコガニ…11月~12月
  • ミズガニ…2月~3月
最高の品質であることを示すタグ

紫色のタグが付いたものは特別です。厳しい基準をクリアした最高品質で、重さ1.1キロ以上のズワイガニに、皇室に献上されるものと同等と認められた証を付けています。

18時、いよいよ夕競りが始まりました

目にも留まらぬ速さで動く指は値段を示し、せり人(競りを仕切る人)は一瞬たりともその指を見逃しません。その道を極めるプロたちのやりとりは驚異的です。

熱気に包まれる競りの会場

全体をよく見ると、競りに参加している人たちは青色の帽子と赤色の帽子に分かれています。青い帽子の人は買受人(かいうけにん)と呼ばれ、これは実際に購入することが可能な参加者です。一方で赤い帽子の人は、市場に入る許可を得ているということを表しており、直接の購入はできないと分けられているようです。

18時30分、メインであるズワイガニの競りが始まりました

先ほどの様子とは打って変わって、ステージ上で競りが行われています。これらは「せり台」と呼ばれ、台の上に漁師がズワイガニの入った箱を出していきます。場内は熱気に包まれ、一番の盛り上がりを見せています。

メインイベントが終わった後は、最後に鮮魚などの競りを行います。

発砲スチロールの箱からはみ出るほどの大きいタラに、ついつい目が行ってしまいます。

地元民に愛されているガサエビ

これはガサエビと呼ばれており、地元民の間で愛される絶品です。漁獲量が少ないことと鮮度落ちが早いためあまり出回っておらず、福井に来た際にはぜひ味わってほしいと思います。

19時、この日の夕競りが終わりました。

競りが終わるタイミングは漁の状況次第で、20時を超える長丁場になる場合も。

競り落とされた水産物は急いでトラックに積み込まれ、足早に立ち去っていきました。こうして運搬や調理の工程を経て、私たちの元に届くのです。

三国港市場の新たな取り組み

夕競り見学

前述の夕競りはこれまで、関係者以外は立ち入ることができず非公開で行われていました。しかし、「熱気あふれる“競り”を体感して欲しい」という思いから、競りの見学ができるようになったのです。

夕競りの見学室

専用の見学室があり、室内のスピーカーで市場の音声を聴きながら見ることができます。

見学を希望する場合は、公式HPに記載されている手順で申し込みが可能です。※見学を希望する日に競りがあるかは電話で要確認

お腹も心も満たされる、日曜の朝市

賑わいを見せる日曜の朝市

三国港市場では、「皆様に親しまれる賑わいの市場」を目指し、毎週日曜日に朝市を開催しています。冬季(11月~3月)は、強風や寒さのため休業していましたが、通常の朝市は4月7日から再開されます。

また、明日3月17日は、北陸新幹線福井開業を記念した「三国港周年祭」が開催されます。

朝市で買い物を楽しむ人々

これからはだんだんと暖かくなり、気持ちのよい朝活ができちゃいますね。

三国港市場の職員の方は「日曜に行なっている三国港朝市にぜひお越しください。」と笑顔で語っていました。

開催日:毎週日曜日(11月~3月休業) 午前 7 時 30 分~午前 11 時 30 分

まとめ

三国港市場で行われている夕競りの様子はいかがだったでしょうか。

カニのシーズンは3月20日までですが、今後は甘エビのシーズンがやってきます。

福井県は甘エビの漁獲量が全国4位で、そのうち70%が三国で水揚げされており、トップクラスの美味しさを誇るブランド品「ふくい甘エビ」があります。(ふくい甘エビのシーズンは5月~1月です。)

北陸新幹線で福井に訪れた際は、三国港市場の朝市で新鮮な日本海の味覚を楽しんでくださいね。

アクセス情報

  • 住所:福井県坂井市三国町宿1丁目17番33号
  • アクセス:えちぜん鉄道 三国港駅より徒歩1分
  • 公式サイト:https://mikuniminato-ichiba.com/
  • 公式Instagram:https://www.instagram.com/mikuniminat_ichiba/
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