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【福井】モデルは明治時代の小学校⁉日本海をのぞむ丘の上に立つ、ユニークな新世代ミュージアム《坂井市龍翔博物館≫

福井県の嶺北部に位置している坂井市。

江戸から明治にかけて北前船の寄港地として栄えた港や、自然の温もり溢れる山間の地域。味わい豊かな米や野菜、果実が盛んに育まれている広大な平野。表情の異なるそれぞれの土地で受け継がれてきた伝統・文化・産業・歴史、そして人々の姿。

これらを後世に伝えていく役割を担い、幅広い世代が楽しめる工夫がつまったユニークな博物館があります。

この記事では、福井県坂井市の「坂井市龍翔博物館」をご紹介します。

目次

坂井市龍翔博物館について

坂井市龍翔博物館は明治時代に建てられた「龍翔小学校」がモデルになっています。木造5階建て八角形の洋風建築、校舎としては全国的にも大変珍しいデザインといわれています。

龍翔小学校は北前船によって栄えた三国湊のシンボルとして親しまれており、建設費用は町の有力な商人からの寄付によって大部分が賄われていたといいます。大正時代には老朽化によって取り壊されました。

その後、外観を模した資料館「みくに龍翔館」が1981年(昭和56)に旧三国町に開館しました。それから40年以上が経過し、2023年(令和5)に現在の「坂井市龍翔博物館」としてリニューアルオープンしています。

フロアは1階から4階まであり、郷土資料の展示が中心です。その他にも観光の情報収集に役立つエリアやSNS映えするフォトスポットも充実しています。

ここからは、おすすめの楽しみ方や見所をピックアップしていきます。

北前船がもたらした湊の繁栄

初めに紹介するのは、北前船関連の展示エリアです。

平成30年5月24日に日本遺産「荒波を超えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船の寄港地・船主集落~」として三国湊が認定されました。当時の様子を知る手がかりとなる数多くの貴重な資料や展示品を見ることができます。

5分の1スケールで再現された北前船の模型
三国湊の様子を再現した展示コーナー

海運業の問屋の商取引、多様な職人によって育まれた生業、当時の人々の暮らしや町の様子がわかりやすく紹介されており、知的好奇心がくすぐられますね。

三国仏壇(写真右)をはじめとした工芸美術品

職人によって盛んに作られていた彫刻や塗り物、焼物といった工芸美術品の鑑賞を楽しむこともできます。日本遺産の構成文化財の1つである「三国仏壇」も展示されており、細部に光る職人技とその美しさは圧巻です。

受け継がれてきた「祭」の記憶

また、当時の繁栄を象徴し現代まで受け継がれている祭りにも注目です。坂井市龍翔博物館がある三国町では、毎年5月20日に「三国祭」が行われており、武者人形などをのせた高さ約6メートルの山車(やま)の巡行を目当てに多くの観光客で賑わいます。

明治時代には高さ10メートルを超える山車(やま)が町を巡行していたという記録が残っており、当時の再現を館内で見ることができます。大迫力の山車をぜひ一度体感してみてください。

見るだけではない、新しい「学び」のカタチ

次に紹介するのは、大人も子どもも一緒になって楽しむことができる体感型のエリアです。

縄文から古墳までの歴史を学べるエリア①

2階にある【坂井のなりたち】【古代越前の大豪族】というエリアでは、土器や勾玉、銅鐸など「歴史で習った!」と思わず言ってしまいそうな出土品たちが並んでいます。

縄文から古墳までの歴史を学べるエリア②

さらに、トリックアートを利用した写真スポットがいくつか用意されていたり、子どもでもわかりやすい説明になっていたりするので、頭と心と体を使いながら一緒に歴史を学ぶことができますね。

その他にも【天下統一から丸岡藩誕生】というエリアでは戦国武将と坂井市の関係性などを解説しているなど、歴史好きの方にはたまらない魅力が満載です。

言葉と風景の味わい、坂井市ゆかりの文化人たち

学べるのは歴史だけではありません。3階の【坂井の文学めぐり】というエリアでは坂井市にゆかりのある文化人の作品や執筆の際に使っていた道具などを見ることができます。

【坂井の文学めぐり】展示の様子

また、文学教室が開講されることもあり、作品の時代背景やどのような想いで綴られた言葉なのかを紐解きながら、より深く作品を味わうことも可能です。(開講日などの詳細はホームページから確認することができます。)

「雑排」を紹介している展示エリア

最近では俳句や川柳の創作を楽しむ方も増えてきていますが、江戸時代に流行した言葉遊びの一つ「雑排」も興味深い内容となっています。川柳のルーツともいわれており、展示エリアの解説を参考にして実際に詠んでみるのもいいですね。

写真映えするアート空間

前述のトリックアートを利用したフォトスポットの他にも、写真映えする素敵なアート空間をいくつか紹介します。

可愛さと坂井市の魅力がつまった【こどものへや】

ワクワクするデザインで彩られた【こどものへや】

福井県出身のデザイナー・イラストレーターのaiMIKIさんが手がけた、子どもがのびのびと自由に遊ぶことができるお部屋です。ガラスや壁面には豊かな自然風景や動物などが描かれており、部屋の内部には福井県を走っている「えちぜん鉄道」を模した遊び場があります。

展望室いっぱいに広がる空と雲

4階の展望室に足を踏み入れると、鮮やかな水色の空間が私たちを包み込んでくれます。この展望室は坂井市出身のアートディレクター戸田正寿さんがプロデュースし、福井市出身のアーティストDAISUKEさんによって雲の絵がペイントされています。来館の際は「エッシャーに捧ぐ」と名付けられているこの展望室に込められているメッセージにも注目です。

夕日と展望室

日中は日の光が差し込み、明るく開放的な印象。夕方は夕日に照らされて少しノスタルジックな雰囲気を演出してくれます。時間帯によって異なる表情を写真に収めることができるのも、楽しみ方の1つです。

圧巻のパノラマビューを堪能、展望バルコニー

展望室からバルコニーに出て、景色を楽しむのもおすすめポイントの1つです。

展望バルコニーからの眺め

白山から日本海までの景観を360度ぐるりと一望できます。特に天気の良い日は、夕日に照らされた町や日没の光景がとても美しいので、ぜひ絶好のタイミングで足を運んでみてください。

坂井市の旅がもっと楽しくなる!充実した観光情報

観光情報がまとめられているエリア

受付近くの観光情報エリアでは、坂井市のおすすめスポットが1枚ずつポストカードになっていて、持ち帰ることが可能です。

素敵な写真が収められたポストカード

ポストカードは70種類以上! 見学施設だけでなく体験や買い物ができるなど幅広いジャンルで紹介されているので、心惹かれる魅力的な場所との新たな出会いがあるかもしれませんね。

公式キャラクター「りゅうちぃ」

また、ポストカードが置かれているエリアの前にはミュージアムショップがあり、坂井市龍翔博物館のキャラクター「りゅうちぃ」のグッズが並んでいます。

ミュージアムショップの安島モッコ刺し

注目はこの「安島モッコ刺し」です。坂井市三国町の安島地区には海女文化があります。

昔、海女が仕事の合間にやっていた刺し子で、夫の作業着などを保温や補強する目的で施されていました。戦後に一度は途絶えたものの、70年以上消滅していた技術は2016年に復活を遂げています。その技術を「安島モッコ刺し」と名付け、後世に残していくための活動が行われています。

まとめ

今回は「坂井市龍翔博物館」をご紹介しました。

大人も子どもも、一緒になって様々な楽しみ方ができる工夫がつまった博物館ですね。

坂井市を訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。

利用案内・アクセス情報

  • 住所:福井県坂井市三国町緑ケ丘4-2-1
  • 開館時間:午前9時から午後5時まで (入館は4時30分まで)
  • 休館日:毎週水曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日から1月3日)
  • 入館料:<個人>400円 ※高校生以下は無料 〈年間パスポート〉1,500円                                                                                                        ※障害者手帳をお持ちの方は、手帳の提示で割引(200円) ※特別展の入館料はその都度、案内があります。
  • 設備:エレベーター、スロープ、だれでもトイレ(多目的トイレ)、⾞椅⼦レンタル(無料)、授乳室
  • アクセス:えちぜん鉄道 三国駅より徒歩10分                                                                                                                     
  • 駐車場:乗⽤⾞22台、ハートフルパーキング2台
  • 公式サイト:https://ryusho-museum.jp/
  • 公式Instagram:https://www.instagram.com/ryusho_museum/
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