written by しっかり村
猛暑日が続く。
けれど、風が吹き抜ける。
どれだけ太陽が照り付けようと、旅人の休む木陰がふんだんにあり、熱射を吸収する土がある。
それが北海道、十勝だ。
たとえ、昼間の気温が35℃を超えようとも朝夕は涼やか。
小鳥のさえずりに目覚め、カラスの黄昏に夕飯の支度をする。
北海道十勝は、猛暑日もけっこう涼やかに過ごせる。
「十勝 涼やか」といえば広瀬すずの「なつぞら」
「十勝 涼やか」のKWを頭の中で検索すると広瀬すずの名前が浮かぶ。
そう、コロナ前の2019年、十勝を舞台にした朝ドラ「なつぞら」の主人公なつだ。
あの純朴な瞳に魅了され十勝を訪れた観光客は数知れない。
「なつぞら」の放送終了後、コロナ禍中の2022年4月にオープンした「道の駅おとふけ なつぞらのふる里」は、すでに来場者200万人を突破している。
朝ドラ効果は大きいだろうが、何より十勝の魅力・北海道の魅力だろう……と、ネイティブは思っている。
スタッフは気さくで親切だし、顔の見える生産者による地場産野菜がめちゃめちゃ新鮮で安い。
素材がよくて人が好いから、料理も美味い。
ネイティブにとっても、食材の調達やランチタイム、イベント・寛ぎの場として日常的な空間なのだ。
ネイティブに愛されるスポットというのは、旅行者にとっても魅力的だ。
住みたいと思うほど居心地がよいので長居する人が少なくない。
そしてネイティブとの交流でコアな情報を得てますます長居に拍車がかかる。
日本でいちばん大切にしたい会社「柳月」
お隣りの柳月スイートピアガーデンは地元十勝にこだわったスイーツの名店で、坂本光司著のビジネス書「日本でいちばん大切にしたい会社」でも紹介されている。
ここも働くスタッフが気持ちよい笑顔で迎えてくれる。
「なつぞら」で高畑淳子のやっていた「雪月」のモデルだ。
あんばたサンドも美味いが三方六(さんぽうろく)もよい。
何より珈琲を無料で飲めるサービスが嬉しい。
店内でスイーツを購入してひと息つくのもいいだろう。
旅の醍醐味は車窓風景~牛や鶴や牧草ロールと防風林
ひとしきりティータイムを楽しんだら軽いドライブだ。
国道241号線を北へ進み道道133号線へ左折。
白樺並木の美しい十勝牧場を横目にお隣りの鹿追町へ向かう。
鹿追町には「なつぞら」で吉田亮の演じた山田天陽こと、神田日勝の記念美術館がある。
道々、牛がいたり鶴がいたり、牧草ロールがシュールに配置されていたり、十勝らしい夏が車窓を過ぎる。
なお、野生動物との出会いはタイミングもあるので、出会えたらラッキーぐらいのスタンスでいるのが賢明だ。
そして観察や撮影の際は必ず駐車してからにしよう。
北海道は信号のない広い道が多い。
走りやすい反面、飛ばし過ぎて曲がり切れなかったり、野生動物との衝突事故も頻繁だ。
くれぐれもご注意を‼
絶筆となった「半身の馬の絵」を観に神田日勝記念美術館へ
神田日勝は孤高の農民画家。
「なつぞら」の山田天陽のモデルということで一気に知名度が上がったが、それまでは知る人ぞ知る芸術家だ。
世界的美術作家である奈良美智が予備校時代、神田日勝の作品と生き方に感銘を受け、勇気づけられたという。
美術館には、北海道の大地をしっかりと踏みしめ、身近な生を見つめたエネルギッシュな作品が並ぶ。
もはや鹿追町のシンボルとさえいえる「馬〈絶筆・未完〉」は鮮烈だ。
孤高の農民画家の絶筆が、余白で語りかけてくる。
描かれなかった半身に思いを馳せるのもよいかも知れない。
それぞれの馬の絵を描こう
神田日勝記念美術館からさらに北上して標高810mの天然湖、然別湖を訪れるか、あるいはお隣りの蕎麦の名産地、新得町で手打ち蕎麦に舌鼓を打つか。
どちらも魅力的だ。
それぞれの創造力で、馬の絵を完成させられるような旅となればよい。
ちなみに、下記のようなコンクールが催されている。
締め切り間近だが、この夏の旅の思い出にどうだろう……。
開館30周年記念事業「絵画感想文コンクール」 | 神田日勝記念美術館公式ホームページ
施設情報
道の駅おとふけ なつぞらのふる里
- 住所 〒080-0346 北海道河東郡音更町なつぞら2番地
- 電話番号 0155-65-0822
- 営業時間 9:00~18:00
- 休日 11月から3月は毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)年末年始(12月31日~1月3日)
- アクセス 道東道音更I.Cより5分
- 公式サイト https://michinoeki-otofuke.jp/
柳月スイートピアガーデン
- 住所 〒080-0346 北海道河東郡音更町なつぞら1番地1
- 電話番号 0155-32-3366
- 営業時間 9:00~18:00(4月17日~11月4日) 9:00~17:00(11月5日~4月16日)
- 休日 年中無休
- アクセス 道東道音更I.Cより5分 道の駅おとふけ隣り
- 公式サイト https://www.ryugetsu.co.jp/sweetpia
神田日勝記念美術館
- 住所 〒081-0292 北海道河東郡鹿追町東町3丁目2
- 電話番号 0156-66-1555
- 営業時間 10:00~17:00
- 休日 毎月曜日(祝日の場合は開館)、祝日の翌平日、年末年始(12/28~1/3)
- アクセス 道東道芽室I.Cから20分 道の駅おとふけから車で約35分 JR帯広駅からバスで1時間
- 公式サイト https://kandanissho.com/